「プロテイン」と聞くと、筋トレやスポーツを本格的に行っているアスリートが飲むものとイメージする方もいるかもしれません。しかし、身体を動かすことが少ない人にも欠かせない栄養が含まれているプロテインは、普段の食事に加えて取り入れるのがおすすめです。ここでは、プロテインの効果や種類、おすすめの摂取方法などについて紹介します。
プロテインとは
タンパク質を摂取できる「サプリメント」として認識されがちな「プロテイン(protein)」は、そもそも日本語で「タンパク質」を意味する言葉。ギリシャ語で「重要なもの」を意味する「Proteios(プロテイオス)」が語源とされています。
タンパク質は肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれていて、糖質や脂質と並ぶ三大栄養素のひとつ。体内の筋肉や臓器、皮膚、爪、髪の毛などを作る材料になり、ホルモンや酵素などの機能を調整する成分にもなります※1。
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できない下記の9種類は「必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)※2」と呼ばれます。
<必須アミノ酸>※2
ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン
1日に必要なタンパク質の量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、タンパク質の1日当たりの推奨量は成人男性で60~65g、成人女性は50gです※3。
ただし年齢や妊娠の有無、活動量などによって必要な摂取量は異なります。筋肉をつけたい人や身体を酷使するアスリートなどは、より多く補う必要があるでしょう。
効率的にタンパク質を摂取するには「プロテイン」がおすすめ
タンパク質は肉や魚からも摂取できますが、推奨量を食事だけで補うのは難しいのが現実です。たとえば、タンパク質を多く含むとされる鶏のささみ(生)でも、含有量は100g当たり23.9gほど※4。成人男性が推奨量を満たすためには、300g弱のささみを毎日食べなければいけません。
本格的なトレーニングを行っている場合はさらに多く食べる必要がありますが、食事量を増やすほど余計な脂質も摂りやすくなってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、食事の補助としてプロテイン(サプリメント)を活用すること。普段の食事に加えることで、効率的にタンパク質を摂取することができます。
プロテインの種類と特徴
プロテインの種類は、原材料から主にホエイ・カゼイン・ソイの3種類に分けることができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ホエイプロテイン※5
牛乳に含まれているタンパク質のおよそ2割を占めるホエイ(乳清)。ヨーグルトの上澄みにたまる液体もホエイです。
ホエイタンパクは水に溶けやすいうえに液状なので、吸収の速さが何よりの特徴。約2時間で身体に吸収されるので、トレーニング後の栄養補給におすすめです。
カゼインプロテイン※5
ホエイプロテインと同じく牛乳由来で、牛乳タンパク質の約8割を占めています。不溶性なので、7~8時間かけてゆっくりと身体に吸収されます。腹持ちがよく、寝る前やダイエット中の小腹満たしにもおすすめです。
ソイプロテイン※5
ホエイやカゼインが動物性タンパク質であるのに対し、植物性タンパク質に分類されるのが大豆由来のソイプロテイン。女性ホルモン(エストロゲン)と似たはたらきをするといわれる大豆イソフラボンが含まれています※7。
身体への吸収にかかる時間はおよそ5~6時間。カゼインと同じく吸収スピードがゆるやかなので、ダイエット中の方にも適しています。牛乳由来ではないため、乳製品が苦手な人でも飲みやすいでしょう。
プロテインを飲むのにおすすめのタイミングは?
プロテインはいつ飲んでも問題ありませんが、せっかく活用するなら適したタイミングを知っておきたいもの。摂取するタイミングに応じて、プロテインを使い分けるのも一手です。摂取に適したタイミングとプロテインの種類を見ていきましょう。
トレーニング後
運動による刺激で筋組織へタンパク質の吸収が促されると、筋タンパク質の合成が進んで筋肉が発達すると言われています※8。三度の食事やトレーニング後などにプロテインを補うことで、体内に効率よくタンパク質を蓄えられるでしょう。吸収が速いホエイプロテインが特におすすめです。
就寝前
栄養補給ができない就寝中に備えて、寝る前にプロテインを取り入れるのもひとつの方法です。身体に負担がかからないように、眠る数時間前に飲み終えておくのがベター。吸収スピードがゆるやかな、カゼインプロテインやソイプロテインが適しています。
食事の前後
プロテインを気軽に摂取したいなら、食事の前後に取り入れる方法もあります。特に体内の栄養が不足しがちな朝食前は、プロテインを飲むのにうってつけのタイミング。食事前だとお腹が膨れてご飯が食べられない方は、量を調節しつつ食後に補ってみてください。
間食に使うのもおすすめ
プロテインは間食としても役立ちます。食事の間隔が空くタイミングでプロテインを飲めば、空腹感がまぎれるうえにタンパク質を補えて一石二鳥。カゼインプロテインやソイプロテインなど、腹持ちがよい種類を選ぶとよいでしょう。
毎日のコーヒーで気軽にタンパク質を摂取しよう
タンパク質をプロテインで補いたいなら、コーヒーを「プロテインコーヒー」に置き換えるのがおすすめです。
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栄養バランスの維持にプロテインを活用しよう
タンパク質は日々の食事からも摂取できますが、必要量を食事だけでまかなうのはなかなか難しいもの。プロテインを活用すれば、足りないタンパク質を手軽に補うことができます。食事から摂るタンパク質の量を考えながら過剰摂取に気を付けつつ、バランスのよい食生活を心がけて上手に活用しましょう。
■参考元
※1 たんぱく質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html (2023年4月8日)
※2 1─2 たんぱく質(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf (2023年4月8日)
※3 日本人の食事摂取基準(2020 年版)(厚生労働省)133P
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (2023年4月8日)
※4 日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html (2023年4月8日)
※5 誰でもわかるプロテインの基礎知識(一般社団法人 日本プロテイン協会)
https://japan-protein-association.com/knowledge/?_ga=2.208524818.1092190477.1652703634-531147523.1652703634(2023年4月12日)
※6 JAPIC NEWS 2006 年 3 月号 (No.263)(財団法人 日本医薬情報センター/JAPIC)
https://www.japic.or.jp/service/whats_new/japicnews/pdf/263.pdf (2023年4月8日)
※7 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html#q03 (2023年4月8日)
※8 これホント?食のギモンにお答えします 第5回 たんぱく質のとり方(前橋市国民健康保険課 保健指導室)
https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/44/protein.pdf (2023年4月8日)